おっさんにマラソン

おっさんにマラソンを当てがってみた記録と思索

デブでも「サブ4」を目指す理由

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とある夜のこと。

遅番だった仕事から帰宅した。駅から家までの道中、冷たい風が強く吹いていたので、身体を冷やしてしまった。なので、風呂に入る前に麦焼酎のお湯割りを作って呑みながら一息つきつつ、妻とたわいもない話をしていた。変哲のない夜である。

そして、その話題が彼女の身の周りで起こった出来事から、最近の仕事内容に関する話題に変わっていった。話を進めていく間に、その現象の背景にあると思われる事柄が、制度や地域社会の瓦解する前触れみたいで嫌やね~というオチになる。コロナ禍以降、こういう展開が頻繁に起こる

妻の職業は、助産師である。

世の少子化で、廃業や縮小が進む分野ではあるものの、それでは困ると政が慌てて何か対策を打とうとしている現場に携わる職業だ。

社会が通常に営まれている以上、そこから産院がなくなってしまうことはない。
ただ、産院の運営も「事業」である以上、需要が減れば供給も減らさざるを得ないので、数が減るのも仕方がないとは言える。しかし、かなめの部分であるが、産院の数が減ってたのは需要に応じたものであるから、現場の忙しさ自体は変わらない。妻の話だと、お産の数は少しくらい減ったかもしれないけど、忙しさは以前より厳しくなった気がすると言う。

不妊治療で妊娠した人、無痛分娩で産む人、そしてコロナ禍から変わらない感染対策、普段からある程度の事例が起こる「望まない・望まれない妊娠」や妊婦さんの心身や家族背景の問題対応などなど・・・、お産1件にかかる手間が確実に増えていると言うのだ。

彼女の勤め先が、たまたまそういう忙しいところなのか?と昔は思っていたのだけれど、産院が減ったことで以前より広域から妊婦さんがやってくるようになったとも言ってる。であれば、妻の働く産院で起こっている出来事というのは、その地域における様々な角度から見た、出産に関する事象と問題の「今」が反映されていると言えるのではないだろうか。
ならば、本気で少子化対策を何とかしようとする連中は、この「今」と対峙しなければならないのではないか。

我が家では、基本的におっさんが食事を作る。
仕事から帰ってきた妻が、作った飯を旨い旨いと食べてくれるのは大変嬉しい。
しかし最近、腹が満たされた妻は、「疲れた」とそのまま床に転がってひと眠りすることが多くなっている。彼女の疲れは日を追って溜まっていくようだ。年齢のせいもあるだろう。でも、それだけではないようだ。

なんでも、この国の政府は、異次元と称した少子化対策を行うらしい。
その肝は、金を配ること。どうやら、少子化の主因と金と捉えて、それを補充すれば事足りるのではないかというものらしい。金が受精割合を増やし、金が出産を介助し、子供は金を食べて育つらしい。それなら、助産師なんか全員クビにして金にAIやモーターをつけて子供を育てればよい。いっそのこと「子供工場」でも作ればよいのでは。
こんなことを書くと、本気で「それは良いアイディアだ。ぜひ実現させよう!」ってなことを言いかねない連中が、まつりごとの中心付近に群生しているらしい。

そんな少子化対策に物申すつもりは毛頭ないけれど、疲れが溜まり続けている妻を元気にする義務と責任が、このおっさんにはある。この問題から目をそらすわけにはいかない。管理人としての矜持だ。折り合うにしても切り拓くにしても、飛び越えるにしても撤退するにしても、一朝一夕には行かない。

このままのんびりと老後を愉しむには、どうやら今より相当量の気力と体力が必要らしい。

ここのところ、ずっとこんなことを考えていたんだけど、先日メリパナイトランの打上げで、誰かが掛けてくれた言葉

「昔、『デブでもサブ4』って言うてたやん。」

を聞いて、「よしコレや」と内心合点がいった。

 

デブでもサブ4、死ぬまでサブ4。

生きるため、暮らすために掲げる目標として悪くない。
ちゅうか、減量せいや、おっさん。

 

注:妻には業務上守秘義務があるので、夫婦間での会話とはいえ、仕事の業務に関する内容は、あくまで概要であるということを断っておく。