おっさんにマラソン

おっさんにマラソンを当てがってみた記録と思索

第515回メリパナイトラン

2023年4月18日火曜日。

午後から京阪神各地で雨が降ってくる微妙な天候だった。しかし、夜には何とか回復したことで第515回メリパナイトランを無事に開催することが出来た。

天候の影響もあって、参加者はアタクシを含めて7名。
「今日は少ないねぇ~、」とおっしゃる参加者もいらっしゃるけど、昔を思えば御の字の人数だ。2人3人とか当たり前だったからねぇ~。

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参加数もそうだけど、メリケンパーク全体も来ている人は少なかった。
雨上がりで高くなっている湿度のせいか、風向きのあんばいで花粉症の鼻の穴から入ってくる潮の香りに、春がキロ4分台で走り抜けていく勢いを感じた。
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無事に走り終えて、参加者有志でメリケン亭へ移動して打ち上げを始めた。先客で一組男性3人組が盛り上がっている。港湾関係の方だろう。初めて見る顔だ。さすが4月か新年度。

またこの日は、神戸マラソン2023のエントリー開始の日でもあった。
スマホを開いてランネットにログインをして、おのおの手続きを進めながらビールを呑む。差し入れの塩味の芋けんぴが旨すぎてビールがすすむ君状態。
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そうして、いつもながらの雑談で盛り上がっている横で、メリケン亭のマスターが不意に我々の隣のテーブルで呑んでいるグループの一人に向かって

「こっちのランの人にも宣伝したらエエんちゃうの?」みたいなことをおっしゃる。

そりゃそうだっ、という勢いで立ち上がった男性は、こちらへ向かって

「実はですね、今度『鈴木商店』を題材にした劇をするんです!」みたいなことをおっしゃる。
”みたいなこと“と書くのは、酔っているせいもあるけど、それほど身を入れて聞いてもなかったから。

しかし、鈴木商店というキーワードに、神戸で50年以上住み暮らした我が身はピピっと反応してしまう。男性が自身のカバンから出してきて渡してくれたパンフレットを見て、参加者全員が興味を持ち始める。

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なんやコレ、ガチやん。

後援の欄に、錚々たる企業の名前が並んでいる。鈴木商店ゆかりの企業だ。
打上げ参加者のお一人は「わし、行きます。」と即答。
おっさんも帰宅して妻と相談してみることにする。

話はそれだけかと思っていたら、次に立ち上がったのが銀ぶち眼鏡をかけてニヤついている人の良さそうなおっさん。年代物のノートパソコンを手にしている。

「私はですねぇ。文化人類学をやっていまして、パプア・ニューギニアに行ってたんですよ。」とノートパソコンのモニターに、ご自身が裸になってチ●コサックを「まとって」いる姿の写真を表示させて我々に見せてくれた。

おっさんにとって文化人類学は、松村圭一郎の「くらしのアナキズム」(ミシマ社)を読んで以来ずっと興味を持ち続けている学問である。この写真は所謂「フィールドワーク」をされていた際のものだ。文化人類学とリアルに触れ合う機会はこれが初めてだったので相当嬉しかった。

「しかしまあ、バラエティーに富んでいる皆さまですね~。」

「いや~、今日この店に初めてきたんですよ。」

「え、みなさん知り合いとちゃうんですか?」

「違います。」

「えーーーっ!!」

この3人組が見ず知らずかつ、初来店つまり「一見さん」やった事実が今夜最大のサプライズ。「来る客を拒む店」であるメリケン亭に3者3様の一見さんが一度に訪れて馴染んでいるという現実と遭遇する機会に恵まれた。

そして、2つのテーブルが1つになって無駄に盛り上がり続けて夜は更けていった。

「神回」という言葉があるけど、メリパナイトランにとって今夜はソレだったのかも知れない。